レシピしか書いたことがなかった私が「DACO」に連載するようになって今年で7年が過ぎた。DACOというのはタイで月2回発刊されているフリーマガジンで、タイのイベント情報からライブ情報、レストラン情報、旅行情報などが載っている。私が書いているのは食のエッセイで「大地のめぐみ」という。私の名前めぐみにちなんで当時の担当者だった中西さんが名付けてくれた。たわいもない文章だがタイ以外に住んでいるかたにも役立つようなものを時々載せていきます、どうぞご贔屓に。
干し湯葉
異国に暮らすということは不便なもので、当たり前に手に入った乾物が手に入らなくなる。乾物好きの私には一大事だ。どれだけ高野豆腐や車麩を思い出しため息をついたことか…。そんな時に登場したのが「干し湯葉」だった。なんせ日本と比較すれば驚くほど安く大袋50バーツほど、日本円で200円だ。それに棒湯葉、平湯葉、昆布のように結んだもの、層になったものとどれを買おうか迷うほど種類もある。干し湯葉を買うときは中華街に出かけていく。湯葉は中華食材として欠かせないものだから売り切れていることはなく、いつ行っても大袋に入って天井からぶら下がっている。
タイでは湯葉をベジタリアン用の料理食材としても使う。仏教の記念日や行事によっては「今日は殺生しない」という日がある。そういう日は、普段は肉も魚も食べまくっている人が一転して菜食をこころがけるためデパートやタイ系のスーパーにも定番商品として一種類は置いている。
なのだが日本人の住むエリアではあまり見かけない。高級食材のイメージなのか日々の料理に使おうなんて人はいないのだろう。私も日常的に使えるんだと開眼したのはタイのベジレストランで湯葉を使った料理に出会ってからだ。戻した湯葉が小さくちぎられてサラダにスープ、炒め物にと使われていた。
湯葉というと、ふっくらとろけるような食感を想像するしてしまうが、それは少し頭が硬かったかもと反省した。タイの干し湯葉はやや固めで、しっかりしたコシがある。だがドロドロしないので案外使い勝手がいい。戻し方は50度の多めのお湯に2~3分浸けるのみだ。野菜と煮込むと大豆の濃厚な旨味が染み出てきて、ひと味もふた味も上品でまろやかなダシになる。湯葉を気軽に使うコツはともかく「油揚だと思っちゃう」こと。干し湯葉、活用してみてください。
干し湯葉のカポナータ
材料
- 干し湯葉100g
- トマト200g
- タマネギ1こ
- ブロッコリー タマネギの見た目半量
- オリーブ油スープスプーン1
- 塩ティースプーン2〜3
- 昆布2センチ角
- 水1/2カップ
作り方
- 干し湯葉を熱湯につけて戻し水気をきる
- 他の材料は一口大に切る
- 鍋にオリーブ油を入れて1と2を炒める
- 塩、水、昆布を入れて沸騰したら弱火で15分以上煮る